2018年に東京の西洋美術館で特別展も開かれました、バロック美術を代表する画家の一人であるピーデル・パウル・ルーベンス。宗教画や神話を題材とした絵が特に有名なルーベンスですが、個人的には風景画が好きです。
細かな書き込みがあるわけではありませんが、宗教画などにも観られる壮大さや洗練された構図が風景画にも表れています。
以前、ロンドン旅行に行った際に鑑賞した絵画を(個人的な備忘録も兼ねて)紹介したいと思います。
《早朝のステーン城の風景》と《虹のある風景》
《早朝のステーン城の風景》ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵
《虹のある風景》ロンドン ウォレスコレクション所蔵
ルーベンスの風景画は晩年に描かれたものが有名ですが、これらもそのうちの2作品です。依頼を受け、仕事として絵画を描き続けていたルーベンスですが、晩年の絵は自ら書いたものが多いと言われています。
早朝の明るさや虹の演出はルーベンスらしく、ワイドな画角や奥行きの方向を斜めにしている構図も壮大さを際立てているのではないでしょうか。
どちらも今はロンドンの美術館で観られる作品です。《虹のある風景》は同じタイトルの作品がエルミタージュ美術館にもあり、来日したこともあるそうです。
個人的にはロンドンのもののほうが好きですね。《虹のある風景》エルミタージュ美術館展
《Winter: The Interior of a Barn》
《Winter: The Interior of a Barn》ロンドン バッキンガム宮殿所蔵
邦題が見つからなかったのですが、《冬:納屋内の風景》といったところでしょうか。
室内であるため風景画と言えないかもしれませんが、納屋の内部にとどまらず、外の様子も描くことで寒さの中で生活している様子が描かれています。
雪景色の絵は多くありますが、この絵のように雪が降っている様子も描いた作品はこの時代だと少ない気がします。
対となる《Summer》という作品もありますが、こちらは晩年の風景画に近い作風です。
どちらもバッキンガム宮殿に所蔵されているのですが、年中入れるわけではなく、夏季シーズンにしか一般客は入ることができません。観たい場合は旅行の時期に注意してください。